上久保ゼミ・競争力養成プログラム

 

「立命館から世界へ」を目標に、グローバル化が進む現代社会で、国内外で通用する「競争力」を身に着けるために、日々邁進します。

 

 

上久保ゼミHP(note)

 

 

・クリティカル・アナリティクス(批判的分析討論法=CA)

上久保ゼミ・競争力養成プログラムでは、「1人対全員」という独特の形式で行うディベート・トレーニング法を導入し、「批判的分析力を磨く場」を自ら創っています。

 このトレーニング法では、まず1人が「立論者」となります。立論者は、事前に社会問題の1つを取り上げて、それに対する自らの主張をA4・1枚程度の文章にまとめ、他のメンバーに提示します。その他の「討論者」は、立論者と反対の立場で、自らの意見をまとめてトレーニングに臨みます。

 立論者は、できるならば自らの本来の主張と逆の立場で議論を組み立てることが望まれます。例えば、沖縄出身で、元々基地問題に反対の人が、基地問題賛成で立論する。本土出身の討論者は、沖縄の利益よりも国益を重視し、基地問題に肯定的な傾向がありますが、あえて基地問題反対の立場で、主張を用意しておくということです。これは、議論において感情や主観、参加者が本来持つ思想信条の志向を排除し、論理のみを競うことを徹底するためです。

 

1.CAの方法

 トレーニングでは、約40-50分間、立論者と討論者が議論をします。ルールは1つ。「立論者と討論者は絶対に同意してはいけない」ことです。立論者と討論者は、お互いに反対の意見を、論理的にエビデンスを用いながら言い続けます。議論の勝敗をつけることはありませんが、相手を打ち負かすために、ありとあらゆる角度から相手の主張を批判し続けます。

 

2.CAで身に着くもの

 このトレーニングを継続的に行うことで、様々な「競争力」が身に着きます。なによりもまず、ありとあらゆる批判に耐えて、それを打ち返す議論ができる「圧倒的な知的体力」。日本社会で育った人は、内輪では強いが、敵地(アウェー)では弱い、いわゆる「内弁慶」が多いとされています。「1人対全員」という「窮地」に敢えて身を置いてタフな議論を行うことで、ビジネスや政治、学問の国際的な舞台で堂々と戦える「敵地戦闘力」が着いていきます。

 また、討論者になることで、日本人が弱いとされる「質問力」も身に着いていきます。立論に対して、ありとあらゆる角度からの検証を行うことで、「批判的思考力」「多様なものの見方」が着きます。 

 さらに、現代社会は「コミュニケーション能力」「ネットワークを築く能力」が必要とされますが、コミュニケーションの基本は、相手に関心を示すことです。高い質問力を持てば、相手に「興味を持ってくれてるんだな」と好意的に受け止められて、コミュニケーションの機会を広げることができるようになります。

 

3.多文化共生社会を生きる人になるために

 そして、最も大事なことですが、このトレーニング法を続ければ「優しい人間」になれることです。メンバーは誰でも一度は「討論者」になり、全員からの批判に耐えないといけません。本当に大変なことを、みんなが経験することで、相手の立場を思いやることができるようになります。また、社会問題には、本当にいろんな立場、いろんな考え方、意見、主張が存在することを身をもって知ることになります。それは、社会にはさまざまな人がいることを知ることにつながります。さまざまな人がいることを知れば、ヘイトな発言など絶対にしてはいけないということを知ることになります。

 つまり、クリティカル・アナリティクス(CA)は、単なるディベート・トレーニングにとどまらず、多文化共生社会によりよく生きる人間を育成するトレーニング法でもあるのです。

 

上久保誠人